最前列 | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

最前列

 娘の中学の運動会は雨で順延された。実は昨夜のうちから「観客席最前列」に陣取りをしていていた。それだけに中止の決定を聞いた「またこれをやるのか」と思ってがっかりした。


 九州のほうでは鉄砲水や竜巻、その他甚大な被害が出ている。ま、それに比べれば「雨で中止」レベルは屁みたいなものだ。今度秋晴れの中で思い切りやらしてもらえればよい。


 最前列に陣取ったのにはわけがある。娘は「組み体操」では本部席まん前、いわゆる最前列で演技をすることになっていたのだ。今までこういった目立つ場所にはあまり出なかったのであるが、今回は彼女自身の『迂闊』でそうなってしまったのだという。


 ホームルームで先生から「バレエや日舞を習った経験がある子はいるか」と聞かれ、幼稚園のときに少しだけバレエ教室に通っていた娘は何も考えずに手を上げてしまったのだという。


 そしたら、そういった「経験者」が前のほうに集められたという。


 確かに彼女は嘘はついていない。経験はある。しかし、今となっては爪先立ちはできないし(って昔もできなかったと思うが)、足は上がらないし、音楽に合わせて体を動かすことも難儀。そんな彼女が「最前列」で演技をさせられるハメになったわけだからきっと爆笑シーンが見られるはず、と娘には内緒で、最前列にカメラを持って押しかけることにしたのではあった。


 今のところ親のそんな目論見は娘にばれていない。順延の来週、捲土重来だ。ではそういうことで。