オートロック | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

オートロック

 今日はセキュリティシステムの話。


 前の勤務先は磁気ストライプの入ったIDカードを使って建物の入出を制御していた。昼間はいつもあけっぴろげだが、夜間とか休日はカードがないと建物に入れない。


 現在の勤務先は機械にかざして「手の静脈」によって本人を同定するシステムである。前の勤務先と同様、昼間は良いのだが夜間や休日はちょっと面倒なのだ。


 機械のカバーをあける・スイッチを入れる・暗証番号を押す・手をかざす・認証が終わったらカバーを閉じる


 仕掛け的にはそんなに難しくないのだが、使いにくい。


 まず夜間の場合。機械のカバーをあけるのは簡単なのだがその中のスイッチやテンキーが真っ暗だと見えない。だから懐中電灯で機械のボックス内を照らさないといけない。だから、できたら両手があいている状態でないと能率的ではない。たとえば片手に試験管とかフラスコを持った状態ではまことに操作性が悪い。


 ゴム手袋をしている場合も面倒なことになる。認証されないのだ。もっともゴム手をしたまま建物の外に出てしまうことが異常なのだが、ゴム手というものも脱着が面倒なものである、ついついそのまま外に出てしまう。


 建物の中に入ってしまえば、あとは普通の鍵だから片手で操作ができる。問題は入る前なのだ。


 大きなテーマパークに行って「一時退出印(紫外線に反応するインクを使うやつ)」を手に打ってもらってそのまま手も洗わずに大学に来た某先生、オートロックが開かない、ってさっき泣いてた。そんな弊害もあるらしい、静脈認証。


 隣の研究室の先生は私と同じような体格なのだが「前の大学は指紋認証。ダイエットをしっかりやらないとなかなか認識してもらえなかった」と愚痴っている。いずこも同じ秋の夕暮れだ。


 研究室の鍵、は学生に持たせている。現在の大学では積極的に学生に持たせるようにしているのだ。私はそれに異論はない。ちょっと前にかかわっていた大学では、「研究室の鍵は一つ(建前論では研究室の先生が管理責任者)」だけで、それが研究室前の廊下においてある無施錠のロッカーに入っていたりしてとても無用心だった。どの研究室も大体が同じようなノリだから、研究室前のロッカーをごそごそやると鍵が出て来たに違いない。とてもセキュリティが甘かった。研究室の学生に鍵を持たせておけば、部外者がロッカー開けて鍵を見つけて、ということはおきにくい。


 周南市の徳山高専の事件、とても痛ましい。関係者のお気持ちを察すると痛みを通り越す。


 この事件では研究室の鍵は学生が持っている、ということで犯人のめぼしがついたそうだ。ロッカーの中に鍵があったら迷宮入りしていたかもしれない。それはそれでラッキーなことだったかもしれない。


 大学の中も安全じゃないんだ、ということを改めて認識した。私なんかは人相がまともじゃないので、特に気をつけよう(疑われないように)。ではそういうことで。