書類作りに命を賭ける男 | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

書類作りに命を賭ける男

 来週からの勤務先に少し顔を出した。私の執務用の場所は既に確保されていて、スペック的には物足りないもののパソもスタンバイ。正式に辞令をもらうとメルアドが申請できるのでそうしたらパソの設定をしてメール開通である。WEB関係は既に閲覧可能な状態である。


 相も変わらず私の居場所は『窓のすぐ横』の一等地である(苦笑)。しかも前の勤務先とは違って南の窓に面しているので、背中が温かく、お昼寝にはぴったりかもしれない(←上司の先生方ごめんなさい)。


 私の勤務するセクションの事務員のお嬢さんにもちゃんとお菓子を持っていって挨拶をしておいた。「今度赴任する三谷幸喜です」と。彼女ちょっと首をかしげて「タケヤマですね、先生」。ありゃ、今度の勤務先でもそれかい!


 正式ではないが先輩(?)がたに一通り「23日から勤務します鈴木ですがよろしく」とご挨拶もした。既にセクション内には手配書は回覧されているらしく、私の素性は把握されている模様であった。逆のデータがなく困るのであるが(じゃあ先輩方のデータ下さい、というわけにもいかないので)、ちょっとづつ口説き落としてお近づきになる必要があろう。


 その中で、猛烈な勢いでキーボードを叩き続けている先生がいらっしゃった。人がご挨拶をしているのにもかかわらず手も止めず視線も合わせず耳と口だけ当方に対応、である。イヤだなあ、こういうの。コミュニケーションの基本ができてないじゃん。5秒で良いから手を止めろよ!


 でも何やっているのか猛烈に気になったので彼のパソを覗き込んだ。表計算用のソフト「X」のシートが見えた。表計算で「猛烈な勢いでキーボードを叩き続ける」必要があるのかはわからん。それでも彼は手元のメモ書きを見ながらなにやら打ち続けている。


 センセ、何の分析なさっているんですか?


 仕方がないから聞いた。そしたらこうだ。


 昨日のお客さんとの打ち合わせ議事録をまとめているのだよ。時間が経つと印象薄くなるし覚えているうちにメモっておかなきゃね。


 え?議事録作るのに表計算ソフトですか?と思わず突っ込みたくなった。


 でもよくよく見ると、画面の下のほう、シートに命名するタブの部分がぎっしりと並んでいるのだ。この先生は日記をこのようにつけているみたいだ。本人はかなり自己満足の模様。


 タブをクリックすればすぐ過去のデータが引用できるし、こうしておけばペーパレスだね。鈴木センセも是非導入してください。


 イヤだ。私は思わずそう言いたくなった。昨日の記録を今日書く、という事自体変だし、そもそもそのような使い方をするなら系列の「データベースソフトA」とかを使うだろうよ。いや、キャンパス内専用に閉鎖型のブログを使おうかと思っているから勤務記録簿以外の記録はそっちでやるだろう。表計算ソフトの使用は間違いじゃないの。


 ま、最初から波風立ててもなんだから、笑って生返事をしておいた。そして彼のことを「書類整理に命を賭ける男、しかもエクセルで!」と密かに命名することにした。


 今度のキャンパスにはどんな人種が住んでいるのだろうか・・・とても楽しみである。ではそういうことで。