光を使わない光触媒 | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

光を使わない光触媒

二酸化チタンなどのいわゆる光励起作用のある触媒を扱う研究がブームだ。
当研究室長も実はこの研究で学位を頂いている。

さて最近、この光触媒について不思議な研究成果を聞く。
「光を当てなくても光励起が起こる触媒」
「電磁波や音波に反応する光触媒」

マジっすか?
理論上考えられない作用である。
詳細の理論展開はここには触れないが、
光励起というのは、照射する紫外線エネルギーによってもたらされるものだ。
光が無い環境下、あるいは光以外のものでその現象が起きるのか。

大急ぎで当該文献を取り寄せ調べてみた。
確かにそのようなデータが観測されている。
が、なるほどその秘密はすぐに判明した。
それは触媒表面の吸着作用だ。

水に投入した光触媒はその性質上触媒表面に親水性の物質を引き寄せる。
すると、水中の汚染物質は見かけ上薄くなる。
つまり、活性炭(冷蔵庫に入れる臭い取りみたいな奴)の吸着作用と同じ。

現象だけにとらわれることなく原理まで良く考えないといけない好例である。

ではそういうことで。